稲刈りを終え

稲刈りを終え。

初めてのお米作りの一年を終えて、とてもほっとしている。

とてもほっとしている。

小さな2畝の田んぼで、手植え、無農薬、無肥料、除草剤なし、

さすがに稲刈りは半分バインダーを借りて、天日で干して、脱穀は機械に頼り。

収穫は60〜70キロくらいでしょうか?

趣味でやるには手間もかかるし、お米は買った方が本当に安いと、

深く深く感じている。

値段だけを見て高い高いと言わずに、農家さんの一年のご苦労に敬意を払っていきたい。

実作業だけでなくて、想像以上の機械や道具のメンテナンスなど色々とあるのだろうと。


お米を作ったとはいっても、田植えから稲刈りまで、時折見たり手を入れて気にかけていただけで、土地の力で自然に育ってくれた。

育ちの悪いところもあったけれど、それは天候と水加減の経験の無さ。

だけどもそれでもそれなりに育ってくれたお米ってすごい。


現在は、お米の収穫量だけを重視するけど、

残った藁も、脱穀した籾殻も、精米した後の糠も、

稲はどこも捨てるところなんてなく、農家さんの一年を支えるものだった。

農閑期は藁を綯い。しめ縄も作れる。藁は屋根にもできる。竪穴式住居も作ろうと思えば作れる。


面積以上に収穫しようとすれば、肥料をあげて、密集させてたくさん苗を植えて。

機械化するか、人を使うか、使わないか、一人でやるか。

味と量と生活と

お米の世界も、ものつくりの仕事も。

その背景と、人なりにどこを大事に思うか、それなりのバランスなのだろう。

面積以上のお米は収穫できないもの。


初めて新米の味を、今までにないなんとも言えない感情と共に、

味わっている。

手を合わせいただいている。


宮下智吉 漆の器