8月の能登 曲物修行
真夏の能登に行っていました。
夏の暑さを恐れての滞在だったけれど、恐れることもありませんでした。
朝晩は涼しく過ごしやすいですし、
夜はよく眠れるし、昼間の日陰も涼しい。
朝のジョギングも快適で、また能登が好きになりました。
今回の目的も曲物の勉強の続きです。
師匠の元を訪ね、
師の道具を自分なりに真似て仕立ててきた道具の確認や、
前回習ったことを東京に持ち帰り曲げたものの確認。
曲げる段取りの確認。木の特性。
練習復習練習復習。
などなど。。。
感じることと、考えさせられることと、ワクワクすることばかりの数日で、
職人仕事は、やっぱり少しの時間で習得する事は出来ないと確信できる。
いい時間になりました。
そして、もっと師匠の元で学びたい。
師匠と材木屋に行き、曲物用の木を見に行きました。
材料を見る時、いつも僕は目の通ったいい材料を、なるべく幅広いものを。
など、なるべく良いものをと選んで購入することが多いのですが、
そのようにして、
また能登に来る時までの東京での自習用として、材料を分けていただきました。
材木を積んだ帰りの車で、師匠からいただいた言葉。
「作家とか、学生なら、よって(選んで)買うんだろうが、
わしら職人は上から順に買うんだ。」と。
「曲げに使えるところは曲げに使って、そうでないところは違った方法で、
どんな材料でも稼ぎにできるのが職人の技だ。」と。
木の癖を知るって、
良い材料を選べる眼が大事だと思っていたけれど、
それだけでは無い。
木も、節だったり、ねじれがあったり、桜目があったり、木折れがあったり、
色々なの所が多い。
そのそれぞれの特性を知り、癖を知り、それを活かせる場所に利用できるのが
職人の技なんだと。
良い材料だけを材木屋から選んだら、そうでは無い材料ばかりが材木に在庫として残る。
そうしたら材木屋さんはそれをずっと抱えていかなくてはいけない。
自分の仕事のことだけを考えず、材木屋さんとの関係で成り立っていることも考えて、
全てを受け入れようとする。
そんな師匠の懐の深さと技量に、ジンときた。
どんな木に対しても、どんな人に対しても師匠は同じように接する。
勉強させてくださいと御願いしたら、即答でどうぞどうぞという。
見学でもどうぞどうぞと警戒しない。
仕事場はワクワクが満ちている。仕事場にしかめっ面が無い。
学びをすることには、早いも、遅いも無い。
今、師匠に会うことができて、学びたいというワクワクを感じる事ができて、
それを受け入れてくれた状況を幸せに思う。
ワクワクした気持ちを優先して動く。
その先に、利益とか、社会的有用性とか将来性とかそんなの知った事ではないし、
わかるはずもない。
今そこの場所に行く事ができなければ、ずっと後悔し続ける事はわかる。
身体に身につくまで、師匠の魅力をもっと人に伝えられるようになれるように。
頑張る。鍛える。動く。
東京と能登に住みます。
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