朝靄の中

夜中に鹿の鳴き声で目が覚めた。

ピーピーと哀しい声。それに続いて応える声。

多分、駆除の罠に引っかかったのだろう。

鳴き声は朝まで続いた。

同時にカラスの群れの声。

散歩道の脇の斜面に、前脚が罠に捕られ、

力無くうなだれたお腹の膨れた雌の鹿。

子供と手を合わせる。

考える朝。