パスをする人になる

12月7日から18日までの間、

福島県三春町のin-kyoさんで個展「家族の漆」を行っています。

お近くの方、ご興味のある方は、お出かけいただけたらうれしく思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

8日の夜から振り続けた初雪に、三春の町は美しい雪景色になりました。

日中の暖かさで、雪はすっかり溶けてしまいましたが、肌にさす寒さが一段と増したように感じます。

雪国の方が聞いたら怒られるかもしれませんが、

僕にとっての雪は、いくつになっても大変さよりも、うれしさが勝ります。

一雪ごとの寒さが、年末に近づいていることを肌で感じれます。


展示をさせていただきながら、

制作をしている時もそうですが、

作家っていったい何だろうと考えていました。


好きなこと、木を削り、漆に携わることを続けられる環境にあります。

自分で築いてきたことではなく、出会い、関わってきた方々のおかげ。

紹介してくれる方、使っていただける方、お店の方、材料を提供してくれる方、

家族、先生、祖先。どの方が欠けても今の環境は成り立っていないような気がします。

これはとてもありがたいことだと改めて感じます。

たまに、叱咤激励をくれる方も、疑問を投げかけてくれる方も、

色々な方がいてくれるおかげで、慢心せずに続けることができる。


作家って、個人プレーではなく、チームワークなんだと思います。

チームの状況を把握し、輪を盛り上げ、時には我慢し、時には頑張り、

其々の得手、不得手をお互いにフォローできるように、

お互いを尊重し、理解をし、信頼をする。

そして、チームメイトから受けたパスを、次に繋ぐ存在でありたい。

相手の状況、境遇に合った、いいパスをおくる技術を磨きたいと思います。


器でも、作品でも、教室でも、植栽でも。

漆を通じて、人とそんな関わり合いができればいいと思っています。


12月14日

宮下智吉