試験的漆教室 木地挽き編 その4

さて、外側を挽き終えたら、次は内側を挽いていきます。

まずは轆轤用に作った「ケヒキ」で、正確な高さを決めます。

高台の深さを「トンボ」で測り、見込みをどれほどの深さまで削ってもいいかを

確認します。

内側の削っていいい深さの見当がついたら、図面と照らし合わせて確認してみます。


「内パス」で高台の広さを図り、見込みの削れる広さを見当つけます。

器の内側を削るために、轆轤に木地を固定します。

器の外径を包み固定できるほどの、内側がくり抜かれたハメ木に、木槌で

優しく固定します。

回転軸とのブレをなくし、中心を合わせます。

まず、「縁」の高さを作ります。

「裏挽き」を使います。

裏挽きの研ぎ方

1・内側を櫛形の砥石で研ぎます。

2・刃ガエリが出て刃がついたら、裏を軽く撫でてカエリを取ります。

カエリを取ると木地との引っかかりが少なくリスクが低いです。

轆轤の鉋は、鋼も柔らかく仕上げてあるので、頻繁に研ぎながら削ります。

器の縁。高さの基準になる面をまず作ります。

それを基準に、内側の深さ、見込みの形状を測ります。

「トンボ」で削れる深さを確認します。

「えぐり」という深く掘る用の刃物を用いて、仕上げ少し手前の深さまで、

掘ります。

深さが決まったら。

縁の仕上げの幅を決めます。

「丸鉋」を使います。刃を当てる位置は2時くらいでしょうか?

丸鉋も同じように頻繁に研ぎます。

型紙と目安として確認をしながら、形を作ります。

「丸シャカ」を使って挽き目を整え面を作ります。

中心から外側に向けて刃物を動かし、整えます。

途中、ハメ木から外して、器の厚みや、重さを確認します。

7時から8時くらいの位置に刃物を当てます。

「シャカ」の研ぎ方は70度〜80度くらいでしょうか?

押す時に研ぐイメージで研ぎます。

研ぎでできたカエリは取りません。

「キサゲ」を使って仕上げをします。

外側を挽く時と持ち方が異なります。

右手親指、人差し指で刃先を支え、

キサゲの端、頭部分を支点になるように、左手の親指人差し指で支えます。

反時計方向に回転させ、7時〜8時ぐらいの位置に刃物を当てて挽きます。

回転方向を間違えると弾くので、確かめてから刃を当てると安全です。

自分の場合は、図面の寸法最優先で器を作ることはほとんどなく、

その時々の印象を優先しています。

大きさと用途に対して、ちょうどいいと感じる重さとか、置いた時の音とか、

食べ物の盛り付けたイメージが湧くように。

同じ種類の木でも異なりますので、その「なんか違うかな?」

「もうちょっと軽いほうがいいかな?」といった違和感を修正していきます。

また、漆を塗られた時に完成となるので、

器に対しての工程回数、下地の重さ、なども考えて、

木地の段階では少し物足りないくらいに軽くします。

仕上がった時のちょうど良さを想像しながら作りますが、まだまだ研究している最中です。

作業効率は二の次、三の次で悪いですが、

そう作ることが今のところ自分には合っているようです。


内側がひけました。

さて次は漆を塗っていきましょう。 木地つくり編 おわり