試験的漆教室 木地挽き編 その3
前回からの続き、今回は木地を挽いていきます。
※木地の挽き方の一例です。
産地、人それぞれ、いろいろな方法があります。これがすべてではない点をご留意下さい。
荒木地
図面に起こした寸法を元に、木を選びます。
図面よりも一回り大きい塊で成形した木地を『荒木地』と呼びます。
『荒木地』は石川県加賀市山中の材木屋さんから乾燥したものを取り寄せています。
石川県山中は「山中漆器」の産地です。特に漆木地轆轤の技術が高く、
伝承者育成のための研修所もあります。
古く、山中温泉からまたずっと奥に入ったダムで水没した我田村は、我田盆の産地でした。
荒型(荒木地)を轆轤に固定します。
轆轤本体と木地との固定役に「ハメ木」を用います。
まず、軸がぶれているので、轆轤の回転軸に合わせて、荒木地の平行、水平面を均します。
器の側面を削るのには、「裏挽き」を使います。
ケガキコンパスで、高台の径を計ります。
木地を回転させながら、高台の径をケガキます。
「トンボ」と呼ばれる高さ、深さを測る道具を用いて、器の高さを計ります。
高台が平面にできていないと、高さがばらつきが出てしまします。
おおよその高さを検討つけます。
口径を「外パス」で計ります。
口径に合うよう、確かめながら削ります。
その他、量産するもので効率を求めるならば、「ハメ木」の径を、元々
口径に合わせてあるものを準備し、そのハメ木の径に合わせて挽いていく方法があります。
「裏挽き」で大まかな成形が出来上がったら、中仕上げとも言いましょうか?
「シャカ」という刃物を用いて、平面をつなげます。
例えていうならば、(厳密には違います!)
1・「裏挽き」で図面を細かな点の集積と考えて作り。
2・「シャカ」でその点をつなげて面にする。
デザインの要望に合わせて、
「シャカ」で挽き目を無くしていきます。
「キサゲ」と呼ばれる刃物で、仕上げます。
「キサゲ」は、ハイスピードスチール鋼の金鋸の刃を加工して作ります。
キサゲは鋼が入っているので、弾力があります。
70度ぐらいの角度で「刃がえり」を作る様に一方向から研ぎます。
この「カエリ」で削ります。
※平面が出ている面を手前にして、押す方向だけ砥石を当てカエリを作る。
※危険なので片手では作業してはいけません!
キサゲの当て方
刃物平面を上面にします。
刃先手前を左手の人差し指で支え、右手の親指人差し指で刃物の支点となるように。
木の堅さによって支点の距離を前後させます。(図が必要ですね)
轆轤が手前回転方向の場合は、回転軸に対して刃先は下向きにします。
刃を当てる角度が軸に対して平行に近い方が、刃が最大限生きて綺麗に仕上がります。
※平行(90度)に当てると刃が跳ね返り危険!なのでやや下向きに構えます。
※回転方向を確認してから刃物を当てると安全です。
表面をすくい取るような感じで削ります。
押して力を加えると、跳ねたようにブレますので優しく使います。
図面通りが必ずしも正しくはありませんが、
図面ゲージを頼りに、イメージとの違和感を修正しながら成形をします。
仕上げにサンドペーパー(♯400)を当てる時は、あて木をしないと形がゆるくなります。
サンドペーパーは頼りになるので、江戸指物の世界では「兄貴」と呼んだりもするようです。
「兄貴」は頼りになりますが、兄貴には頼らず木を削るのが好きなので、自分は使うことはあまりありません。
外側ができました。次は内側の成形に移ります。
ふう。。。 続く。
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