生かすことに向かう

混乱の世の中をさらに掻き乱すことが起きていて

理解ができない。

こういった時に、美術や工藝が直接できることはないと思うから、

何やっているんだろうなと、これは人のためになっているのかと、

悲しくも虚しくもなる。

世の中がある程度平和であるからこそ、楽しみを見つけ喜びが生まれる。

美しいものが見たかったり、美味しいものを食べたかったり、洋服を楽しんでみたり、観光したり。

何にもないってありがたいことなんだ。

憎しみや悲しみはこれ以上生まれないように。

いつも祈っている。


ものを制作することや、生きるためには、必ず何かを犠牲にしている。

何にも迷惑をかけないで生きることはできないと思う。

でも悲観的になるのではなく、ものを作ることや、それぞれの言動や生き方で、

何かや誰かを生かすことに向けていきたい。


素材を、漆や木を生かす。

「素材や道具を生かす」ってのはどういうことなのか。

その特徴や、使い方、癖や、いいところを知ること。

「そのものの魅力を知ること」が、生かすことになるのだと思う。

料理だとすれば、新鮮な山菜が手に入ったとしても、アク抜きだったり、美味しい調理法を知らなくては、おいしく楽しめることはできない。

魅力を知ることでさらに、生かすことができる。


だからと言ってすぐに何もできないけれど、

自分で生産できないものを平気で捨てている愚かさに気がついた。

プラスチックや紙切れもゴミとして燃やしてしまえば灰になるだけ。

まずは、

全てを資源だと捉えて、可能な限り分別し、再生につなげさせることから始めている。