曲物 その1 製材編
木材の加工技術の一つ、曲物を勉強しています。
勉強していることは僕の勝手なのでどうでもいいことなのだけど、
1、2度しか会っていない僕を、仕事の邪魔になるのにも関わらず受け入れてくれた。
師匠の人柄が素晴らしく、学ぶべき姿です。
現在、輪島の曲物職人は現在では3名しか残っていないようです。
80代、70代、60代に各一人ずつ。
師匠には今年度になり、お弟子さんもいるので未来は明るいように思います。
師匠は人望も厚く、仕事も早いので、
輪島塗職人からはもちろんですが、全国の塗師や漆作家
から頼りにされ、数々の仕事が集中しているように感じました。
輪島塗の産業を、下から支えている縁の下の力持ち的存在だと思います。
輪島での曲物は、あすなろ(翌檜、アテ)という能登特有の針葉樹を使います。
特徴は油分が多いですが、乾燥すると油分が抜けて硬くなります。
乾燥すると収縮により歪みができるので、曲げる形に合わせた、材質の判断と、厚み、乾燥状態など、全ての作業において経験がものを言う仕事だと思います。
材質は、ヒノキやヒバや杉など、他に曲物で使う材よりも硬い印象です。
製材は丸太を四つ割りにするところから始まります。
四つ割りにした材を、「柾挽き」もしくは「柾割り」にします。
割ると辺り一面、気持ちがシャキーンとする強いいい香りに包まれます。
使用するまでには、
風雨にさらして3年以上、水分と油分を抜くために乾燥させます。
風雨にさらして乾燥が進んだアスナロは、表面がグレー色になります。
街のいたるところや、海岸線を走ると、古くからの民家を見ることができますが、
外壁材が同じくアスナロで覆われており、風雨にさらされグレーの景色が統一されていて、
自然に溶け込みとても美しく感じます。
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